久しぶりに映画を見てきたので、感想を書こうと思う。ちなみに前回見た映画はこのファーストキス 1ST KISSと同じ脚本家である坂本裕二さんの作品の「花束みたいな恋をした」である。
その際は映画序盤でこんなに合う人(相性がいい人)と出会えるのか!?と衝撃を受けたとともに、それでも別れるのか、永遠の愛は作品の中でさえないのかと絶望したものである。(懐かしい)
あらすじ ※以下ネタバレあり

カンナは結婚15年目に夫の駈(かける)を事故で失ってしまう。既に夫婦関係は破綻しており、離婚届にもサイン済みであったが、離婚届を提出する前の思いがけないタイミングでの別れとなる。
しかしひょんな事故からカンナは偶然タイムトラベルができる方法を知ることとなった。
タイムトラベル先は15年前の夫と出会った日。
若いころの駈(かける)と出会い、カンナは再び恋におち、またタイムトラベルにより未来が変わることも知ることとなり、カンナは駈(かける)の死を変えるため奔走する。
感想は様々。感動したとの意見が多数
さてファーストキス 1ST KISSの感想であるが、映画を見た後にnoteで確認したところ感動したとの意見が9割、1割は少し否定的な意見であった。(既婚者曰く、見る人の結婚の有無によっても感想は変わってくるみたい)
私としては感動でぼろぼろと涙を流すということはなかったが、コミカルにテンポよく展開も進むし、ぐっとくる場面もあった。その結果、2時間という時間も忘れてあっという間に映画を見ることが出来たので、良い作品であるといえる。
ただ私は「愛がなんだ」の映画のようなイカレ具合、先の読めなさ、自分の想像を裏切る感じが好きであるため、駈(かける)とカンナが幸せな夫婦関係を送れたり、駈(かける)が自分の死を受け入れたのには、順当すぎるとも感じた。そんな上手くいくはずないのでは?自分の命を差し出してまで誰かを助けるのかな?と思ってしまうのは、私の心が汚れているからかもしれない。
駈(かける)の死は一度回避されている?かも
ちなみにカンナは駈(かける)の死を回避するために奔走するわけだが、一度死が回避されている?シーンがあった。駈(かける)は何か突発的な状況になるとすぐに体が動くタイプであり、事故の際もホームから転落した赤ちゃんを助けるために駈(かける)もホームの下に降り、赤ちゃんを救出するがその結果亡くなってしまう。
しかしカンナが過去で突発的状況の際には非常停止ボタンを押す!ということを教えることで駈(かける)はホームの下には下りず、死ぬことがなかった。※その結果電車が脱線し62人の命が失われる結果となった。
過去を変えるには大きな代償が必要

このシーンからは1人の決まった未来(死)を回避するにはそれなりに大きな代償が必要ということが分かる。
漫画の鋼の錬金術師の中には等価交換の考え方があったが、死者の蘇生は漫画内でも実現はできず、死者の蘇生を試みただけで、身体や足、目、臓器等をそれぞれ持っていかれていたなぁと思い出し、駈(かける)の死は回避できなものであると思った。
見知らぬ62人を犠牲にするか、自分の最愛の1人を犠牲にするのかという有名なトロッコ問題にもに似ているが、原因はカンナにあり、カンナはその罪の重さには耐えられないだろう。
駈(かける)の死は別の形で現れる可能性

さてこのシーンには続きがあり、カンナが過去を変えたことにより、電車が脱線したことはニュースにより知ることとなるが、その際、駈(かける)は生きていたのかということである。明確に映画上では示されなかったが、駈(かける)は電車の事故がなくとも、別の理由で死亡していた可能性もある。
カンナと駈(かける)が赤い糸で結ばれていた(映画内で45歳のカンナを駈(かける)は何度も好きになっていた)のと同じように死ぬことも運命づけられているならば、駈(かける)が自分の死を受け入れていたのにも納得である。
※ちなみに映画内で駈(かける)が「25年後のあなた(カンナ)に会えるのであれば、未来で死ぬのも悪くない」といっており、そんな考え方もできるのか!カッコいいなと感心した。
(私でも考えつくような「死ぬ運命変えられないし、受け入れるかぁ」などの諦めのようなダサい言葉ではないのだ)
また駈(かける)自身もカンナから死ぬことを聞かされたあと、死ぬという結果は変えることが出来ないので、それまでの15年を大切にしていこうと考えるのは当然考えられる。しかし大切にしていこうと考えたからと言って実現できるのも凄いといえる。
夫婦円満の秘訣を映画より探る。達成できた理由とは?

本作の面白さと言えば松たか子演じるカンナが駈(かける)の過去の姿を見るために何度もタイムトラベルをしたり、未来を変えるべく奔走する点などが挙げられる。
※駈(かける)からの愛の言葉を聞くために何度もタイムトラベルしたり等々
しかし私の着目する点は、死を受け入れた駈(かける)がどうやって夫婦円満を達成したのかという点である。夫婦円満が実現できた理由を考察したい。
状況の整理(映画冒頭とラストでの2人の変化)

ここで一旦状況の整理を行う。映画冒頭とラストでの駈(かける)とカンナでの違いといえば、駈(かける)が15年後の2024年7月10日に死ぬことを知っているかどうかだけである。カンナ側に変化はない。
つまりは駈(かける)側の考え方や行動の変化により未来が変わったことになる。
さらに本作冒頭では駈(かける)はカンナの行動に対して不快感を示しており、これが夫婦関係が破綻するきっかけとなった。
例)駈(かける)が不満を示す→カンナも駈(かける)だって○○じゃん!!→喧嘩の流れ
その為、夫婦関係が良好になるためには駈(かける)がカンナの行動を不快と思わなくなれば問題が解決する。
カンナの行動を駈(かける)がどう思っていたのか (パターン分け)
ではなぜ駈(かける)はカンナの行動に不快感を感じなくなったのか、逆になぜカンナの行動に不快と思っていたのか。
※ここでいうカンナの行動とは電気つけっぱなしや朝にパンを食べる際に皿を用意しない、駈(かける)の靴下を履く等のことを言う。
その理由を探る上で、カンナの行動に対して元々どう思っていたのか、3パターン考えられる。
1.もともとその行動が嫌いだったが、結婚するまで見えなかった部分であった。
→行動自体が嫌いなパターン。
2.行動自体は少し気になる程度だったが、毎日のことで少しづつ小さな不満が積み重なり許せなくなった。→行動自体は少し違和感を感じる程度であったパターン
3.行動自体はもともと問題なかったが、何らかの要因でその行動すら許せなくなってしまった。
→行動自体は問題なかったパターン
行動自体が嫌いなパターン1・2の回避方法
死を受け入れることで以下の行動が可能になったと考えられる。
(行動自体が嫌い、違和感を覚えているパターン1・2について)
- 我慢する
- 変えてもらえるように意見をする
- 行動が受け入れられるようになる
- より愛情が深まることで嫌な行動が長期間見えなくなる(恋は盲目)
死を受け入れることで我慢できるようになる?→NO

まずは死を受け入れることで相手の行動を我慢できるかである。相手の行動が嫌でも言わずに我慢する。不満をため込む結果となる為、普通はどこかで限界が来るが、15年と期限が決まっていることで、あとちょっとの我慢だ、、と我慢できるようになるかもしれない。しかしこれはありえない。
なぜなら我慢しているのであれば、駈(かける)は少なからずカンナそうした表情を見せるはずであり、カンナはそれを感じ取る。そのためどこかぎこちない雰囲気になるからだ。また映画内でもそうした描写はなかった。
行動を変えてもらえるように意見をした?→NO

次に嫌だと思う行動を相手にいうことで変えてもらったかということである。しかしこれも違う。なぜなら映画冒頭とラストでのカンナの行動は変わっていないからだ。また行動を変えてもらうように意見をして実現できるのであれば、映画冒頭でも実現できているはずである。
というか15年という期限が決まったから、相手を必死に変えようとしたのであれば、なんか嫌な奴だ。
死を感じることで、行動を受け入れられるようになった→△

終わりを意識することで些細な事や嫌なことでさえも、愛おしく感じることがある。過去の思い出を語る上で、大変なこともあったけど、それもいい思い出だなぁなんて考える場面がドラマや映画のシーンなどがそれにあたる。
この精神状態になったかといえば微妙である。なったかもしれない。しかしこの精神状態は現実の参考にはならないのでこれ以上の考察はやめようと思う。
死を感じることで、カンナへの愛情が深まり恋は盲目状態の継続→NO

相手のことを好きだと思っているときは、どんな相手の行動であっても許してしまうし、不快に思わない。これが恋は盲目状態で、スーパーサイヤ人のような大きなバフがかかっている状態である。
では、死を意識することでこのスーパーサイヤ人状態が長期間継続できるかというとNOである。
悟空も攻撃され続けられ、限界を迎えれば、スーパーサイヤ人の変身が解けてしまう。同様に、不快な行動、違和感のある行動を長期間経験すれば、好きというバフが取れる。
となれば、行動が原因でバフがとれる→さらに行動が嫌になる→愛情低下という負の流れに一気に陥る。
また本作冒頭でも2人はラブラブであったが、数年で関係が破綻してしまっている。スーパーサイヤ人状態は数年で破綻する。そこに「死」という要素が加わるだけで、15年まで期間を延ばせるとは考えにくい。
駈(かける)は行動自体が嫌いではない
ここまで考えた結果、駈(かける)はカンナの行動自体が嫌なわけではないのが分かる。つまりは前提が間違っていたのだ。残される可能性はパターン3である。
1.もともとその行動が嫌いだったが、結婚するまで見えなかった部分であった。
→行動自体が嫌いなパターン。
2.行動自体は少し気になる程度だったが、毎日のことで少しづつ小さな不満が積み重なり許せなくなった。→行動自体は少し違和感を感じる程度であったパターン
3.行動自体はもともと問題なかったが、何らかの要因でその行動すら許せなくなってしまった。
→行動自体は問題なかったパターン
身体の疲労から心に余裕がなくなり、相手を許せなくなる

「元々問題なかったことが何らかの要因でその行動すら許せなくなった」という現象は「心に余裕がなくなって相手が許せなくなった」ともいうことが出来る。つまりは駈(かける)の許容範囲が狭くなってしまっていたのだ。
では心の余裕がなくなった要因には何があるのか。
最大の要因は駈(かける)の身体の疲労度である。
疲れているときには人は機嫌が悪くなりやすい。ちょっとしたことでピリピリしてしまったり、電気がつけっぱなし程度のことで過度に怒ってしまったり、相手が話しかけても無反応で機嫌が悪いことが顔に出まくってしまったりするなど誰しも経験がないだろうか。
映画を見ると駈(かける)が大学の仕事から普通の会社員になった後から歯車が狂っていたこととなるので、ここら辺に身体の疲労が大きくなる原因はありそうである。
草野球を辞める→身体の疲労低下→心の余裕

結論として、疲労度を大きくぶち上げていた行動とは休日の草野球である。逆に草野球に映画後半では参加しなくなった為、夫婦関係が改善したのだ。
※草野球を辞めた描写は描かれていないが状況的にほぼ100%参加していない。草野球へ参加していない理由は以下である。
- 駈(かける)は野球が好きというわけではない。(好きでも嫌いでもない)
- 草野球参加は仕事(という認識)で仕方なく参加している。
※これは本作で駈(かける)自身が発言から読み取れる - 15年後に死ぬのであれば、好きな人との時間をより多く確保したいと考える。
- 15年後に死ぬのであれば、出世などはほぼ無意味であり、
休日まで上司との関係を良好にするために行動する必要はない。
というか、前半の駈(かける)は仕事で疲れ、休日も上司のために草野球をして疲れ、休める時間がかなり少ない。
2人の生活の為に、またカンナの夢を応援する為に(※カンナはデザイナーとして下積み時期で稼ぎはほぼない)
駈(かける)自身が頑張って支えないといけないと考えていたにしても頑張りすぎである。
ただ駈(かける)はカンナの為を思って一貫して行動しており、結果として上手くはいかなかった映画冒頭も駈(かける)を私は強く攻めることはできない。
まとめ 関係維持の為に自分の心に余裕があるかを問いかけるべし
この映画「ファーストキス 1ST KISS」では休日の過ごし方という行動の違いにより大きく結果が変わってくることが分かった。しかし映画冒頭もラストも駈(かける)はカンナの為を思っての行動しているのだ。少しの掛け違いで未来は変わってしまう。
ただ、掛け違っているかの指標として、「自分の心に余裕があるのか」と問いかけることをしていきたい。
追記 まだ課題は山積?
今回の映画では夫婦円満の秘訣の一端を知ることが出来たが、実際問題としての課題はまだまだある。
まずファーストキス 1ST KISS内でも明言されていた問題が、
「恋は盲目って言うじゃないですか。結婚は解像度が上がります。見逃していた欠点が4Kで見えてきます」
って発言。
つまり「元々その行動が嫌いだったが、結婚するまで見えてなかった」パターン。行動自体が嫌なときの夫婦円満の方法である。自分自身の心に余裕があれば許せるのか。
また一度壊れた関係の修復方法はあるのかという問題。今回は最初からリトライ方式をとっている。つまり関係が壊れた後での修復は不可能ということだろうか。であれば実際は壊れそうという危機を敏感に察知して対策を講じる必要があるが、それは可能かということである。
さらには慣れの問題。一緒にいる時間が長くなるほどに、慣れていく。新鮮だったサプライズも一度経験すれば過去のものとなる。前は相手から多くの刺激、未知の経験、発見が得られていたのに、だんだん感じれなくなる。そうすると途端に相手の価値がなくなってしまったかのように感じてしまわないだろうか。
いわゆる「倦怠期」「飽き」などと評される現象。
だからずっと一緒に居すぎても良くない気がするが、好きな時はずっと一緒にいたいし、相手が一緒の時間を共有しないように画策するのも不安になる。(相手が慣れの問題を気にしていたとしても)
これらの問題は杞憂であってほしい
問題に直面することで、もしかしたら新たな2人の関係性が生まれるかもしれない。これらの問題なんて杞憂であってほしい。
だが、分からない。私自身、結婚もしていなければ、彼女もいたことがない。長期的な関係になったことがない。つまりは問題の前段階でズッコケている。
これらは、私の人生の中で経験し、解決していきたい。恋人募集中。

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